TRAD的出来事

トイレのお話。
2012年6月8日(金)

店舗アメニティーセミナー
『マーケティング理論で紐解く魅力的なトイレづくり』
タイトルを見て、どんなお話が聞けるのかと、興味津々。
ということで3月7日、東京ビッグサイトにて行われた店舗アメ二ティー2012のセミナーを聴いてきました。 会場についてみると、150名ほど?の席は満席とのこと。皆さん、結構トイレに興味があるのですね。
トイレのお話
■野口智雄先生のご講演
まず、基調講演で日本ショッピングセンター協会顧問、早稲田大学社会科学総合学術院教授の野口智雄先生より「マトリックス・マーケティング -最新のマーケティング理論でトイレ・アメニティーを解析する」が行われました。
「個性」・「多様化」は現代のような物のあふれた時代に生き残る上で重要なポイント。それを生み出すためにはマーケティングの思考法である「水平思考」を活用する。

●水平思考とは
「既成」の枠を外す方法で思考を「逆転」させる考え方。

事例として挙げられたのは、「AKB48」 。
アイドルというと、昔は別世界の生き物。そう簡単には会えない。
これを「逆転」の発想で
【アキバに行けば会えるアイドル】
【ヒューマンタッチができるアイドル】に。
これにより、いまや常にトップのCD売上げをあげるアイドルになりました。

このような「逆転」の発想を生み出すのに野口先生が提唱されているのが、マトリックス・マーケティングです。

▼マトリックス・マーケティングの基本マトリックス
マス目の空白箇所を認識し、新たな取り組みの対象や方向性を導くためのツール。
マトリックス・マーケティングの基本マトリックス
野口智雄『水平思考で市場をつくるマトリックス・マーケティング』日本経済新聞社2011年8月より
さてさて、トイレの話に戻りますが、トイレは、昔は用を足す所という認識でした。が、いまや、特に商業施設では、ゆっくりリフレッシュできる空間だったり、侘びさびが感じられる空間だったりと通常の機能「用を足す」に「ストレスフリーのパウダールーム」を結合させたり、「和のテイスト」でスタイルを代用させたりしているのだそうです。
■小林純子先生のご講演
休憩後は、設計事務所ゴンドラ代表、文化学園大学非常勤講師の小林純子先生より「商業施設のトイレはいま」をもとに、トークセッションが行われました。

●人々はトイレに何をもとめるか
1 排泄する
2 一人になる
3 自己解放する
4 小休止する

ホッとする  深呼吸する

リフレッシュする  次の目的行動に移行
確かに、トイレに入るとホッとしリフレッシュします。野口先生も話されていましたが、トイレはただ単に用を足すだけのところでは無くなっていることを改めて認識しました。

●興味深いデータ
東京都によるインターネットアンケート調査で「外出時に利用しやすいと感じるトイレはどういう場所・施設にあるトイレですか?(複数回答)」では、

1位 商業施設
2位 駅
3位 官公庁施設
という結果に。
「あなたがトイレに望むことは何ですか?(回答は3つまで)」では
1位 清潔さ
2位 安全
3位 便器数
4位 場所のわかりやすさ 
5位 洋式
という結果に。
湘南ステーションビルラスカ・ワンダフルクラブ調査2011における、平塚店でお気に入りのトイレのお気に入り理由を聞いたアンケート結果では、「清潔」より「明るい」が上位をしめていました。
1位 明るい
2位 清潔
3位 落ち着いて利用が出来る
4位 買い物をする階に近い
5位 化粧コーナーがある
6位 内装が良い


●集客ツールとして
商業施設では、トイレは集客する上で重要な施設と捉えているそうです。
事例として、札幌にあるJRタワー展望室 38階⇒トイレからの眺望がすばらしい。
カラフルタウン岐阜(トヨタオートモールクリエイト)⇒車の形をしたお部屋の中にトイレが。
など沢山の事例を見せてくださりました。
(設計事務所ゴンドラさんのホームページを見ますと、色々な写真が見る事が出来ます。ご興味のある方は、ご覧下さい。)

そういえば、先日私の友人のお嬢さん(小学校2年生)が、「私、中学は私立に行きたいの。」と。理由を聞けば、「だって、今の学校のおトイレ、2年生は全部和式だし、汚いんだもん。」
私立のトイレは綺麗で公立は汚いのかどうかは定かではありませんが、子供さんも結構トイレを重要視するのだと思いました。

※設計事務所ゴンドラさんのホームページへ

●トークセッションで印象に残った事柄
小林先生は、既存のトイレをリフォームすることも多いそうです。そうなると、昔は「用を足す」場所として捉えられていたので、変な場所にあったり、狭かったりするそうです。その限られた狭いスペースでいかに快適な場所とするかはいつも苦労されるそうです。ただ奇をてらったスペースにするのではなく、まずは、【常に快適であり(いつ使っても清潔・臭わない)】【多様な人々の使い勝手やニーズに細やかに対応されている】といったその施設ごとに相応しいトイレにすることが重要とのことでした。

▼余談
小林先生がおっしゃるにはウォシュレットトイレ、お家で必ず使う女性でも、外では6~7割しか使用しないそうです。野口先生は、「なんで~男性としては絶対ウォシュレットがほしい!」と話されていましたが、使わない理由、なんとなくわかります・・・。なので、予算がないなら無理してウォシュレットにする必要はないと小林先生は話されていました。
※PDFデータ出典:東京都福祉保健局 インターネット福祉保健改革モニター
第7回アンケート結果(平成18年3月実施)「外出時のトイレについて」より

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